以下では、「Accessでの日付・時間の扱い方:日付型の計算とフォーマット」をテーマに、Microsoft Accessでよくある日付・時刻に関する取り扱いを整理します。日付型フィールドの設定や計算式、表示形式のカスタマイズ、使用時の注意点などを把握しておくと、システム開発やレポートの作成がスムーズになります。ぜひ参考にしてみてください。
1. 日付型とは?Accessでの基本概念
- 日付/時刻型 (Date/Time)
– Accessが扱う標準の日付型で、年月日や時分秒を一体として保持
– 内部的にはシリアル値(小数点以下は時刻を表す)として管理され、表示や計算時にフォーマットを当てる
– バージョンによっては「日付/時刻拡張型 (Date/Time Extended)」が追加されているが、通常は従来のDate/Timeを使う
例: 2023/05/01 10:30:00
といったデータを、Access内部では数値44700.4375
(仮の例)として保持
2. フィールド設定:テーブルデザインでのポイント
2.1 データ型:日付/時刻型
- テーブルデザインビューでフィールドを「日付/時刻型」に設定
- 入力必須なら
Required = Yes
にし、Nullを許容しない仕組みも可
2.2 書式(Format) と入力マスク(Input Mask)
- 書式 (Format)
– 実際のデータはシリアル値だが、表示時に「yyyy/mm/dd」「yyyy年m月d日」「mm/dd/yy」などカスタマイズ可能
– フォームやレポートのプロパティでも書式を指定できる
- 入力マスク (Input Mask)
– フォーム上での日付入力を補助(例:0000/00/00
)
– 入力時に桁数や区切り文字を強制できるが、ユーザーが柔軟に入力できなくなる場合もあるため運用を考慮
3. 日付型の計算例:DateAdd, DateDiff, DateValueなど
3.1 DateAdd( )
- 目的: 指定した期間分だけ日付を進めたり戻したりする
- 例: 1か月後を求めるvbコピーする
DateAdd("m", 1, #2023/05/01#) ' → #2023/06/01#
- パラメータ:
- “m”(月), “d”(日), “yyyy”(年)など
- 数値がマイナスなら過去方向
3.2 DateDiff( )
- 目的: 2つの日付の差を特定の単位で算出する
- 例: 何日差があるかvbコピーする
DateDiff("d", #2023/05/01#, #2023/05/15#) ' → 14
- 単位には “d”(日), “m”(月), “yyyy”(年), “h”(時), “n”(分) などがある
3.3 DateValue( ), TimeValue( ), CDate( )
- DateValue(文字列): “2023/05/01” など文字列を日付値に変換(時刻は 0:00 になる)
- TimeValue(文字列): “14:30:00” など文字列を時刻値に変換(日付は日付0相当)
- CDate(オブジェクト): 文字列や数値を日付型にキャストする
4. 書式(Format) 関数を使った表示例
AccessのVBAやクエリで、Format(値, 書式文字列) を使えば、様々な表示スタイルが作れます。
Format(#2023/05/01#, "yyyy/mm/dd") ' "2023/05/01"
Format(#2023/05/01 14:30#, "yyyy年m月d日(ddd) hh:nn")
' "2023年5月1日(月) 14:30"
主要な書式コード
yyyy
/ yy
: 西暦4桁 / 2桁
mm
/ dd
: 月 / 日を2桁表示
m
/ d
: 月 / 日を1~2桁
hh
: 時(00~23)
nn
: 分(00~59)
ss
: 秒
ddd
: 曜日 (月, 火, 水, …)
クエリで Format関数を使う例
SELECT 顧客ID,
Format(注文日, "yyyy/mm/dd hh:nn") AS 注文日時
FROM tbl_注文;
- “注文日時”列で見やすい文字列として表示
- 内部的には日付型だが、文字列出力となる点に注意
5. 時刻だけ/日付だけ扱いたい場合のコツ
- 日付部分だけ:
DateValue(フィールド)
で取り出すか、書式で表示しないようにする
- 時刻だけ:
TimeValue(フィールド)
で取り出すか、書式で “hh:nn” 等にして日付を隠す
- 0:00相当の時刻: DateValueで日付だけ切り出すと時刻は00:00:00になる
6. 桁ズレ/誤変換防止の注意点
- 年/月/日の順序
- AccessやWindowsの地域設定が “m/d/yyyy” なのに対し、ユーザーは “yyyy-mm-dd” と書くなど不一致でエラー
- 可能なら**#yyyy/mm/dd#** の形式で書き、OSのロケールに左右されないようにする
- 2桁年問題
- “01/05/23” が 2023年か1923年か? Windowsの地域設定次第
- 安全を期すなら4桁年か、DateValueの中で
"2023/05/01"
のように明示
- Excelの日付と混在
- Excelの日付シリアルは1900年開始 + 独自のずれ(1900年うるう問題)がある
- Accessで取り込む際はCDateやDateSerialなどで再変換し、正確な日付値に
7. 日付を使ったよくあるクエリ例
' 1) 日付範囲指定
SELECT *
FROM tbl_注文
WHERE 注文日 BETWEEN #2023/01/01# AND #2023/12/31#;
' 2) 月だけ抽出
SELECT *
FROM tbl_注文
WHERE Month(注文日) = 5; ' 5月のデータ
' 3) 当日から 7日前まで
SELECT *
FROM tbl_注文
WHERE 注文日 >= DateAdd("d", -7, Date());
- 日付リテラルは**#で囲む**(Access独自)
- 関数
Month()
, Year()
, Day()
などで年月日を切り出し抽出も可能
8. まとめ:日付/時刻の計算&表示を使いこなそう
- フィールド型: テーブルの該当列を「日付/時刻型」に設定
- DateAdd/DateDiff: 日付を加減算したり、差を求めたりできる
- Format: 表示を
"yyyy/mm/dd"
など自在にカスタマイズ
- 部分取り出し:
DateValue()
, TimeValue()
, Year()
, Month()
, Day()
などで柔軟に切り分け
- 誤変換防止: #~# や 4桁年の徹底、地域設定の確認
- クエリやフォーム、レポート: 必要に応じて日付表記や範囲絞り込みを上手に使う
Accessでの日付・時間の扱い方を理解すれば、売上日別集計や予約システムのように、日付が絡む多くの業務アプリをシンプルに実装できます。ぜひ基本を押さえ、思い通りの書式表示や計算を活用してみてください。
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日付と時刻はビジネスアプリケーションの要です。Accessの独自ルール(#で囲む、ワイルドカードとの相性など)を理解して、柔軟かつ正確な日付操作を行いましょう。
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