以下では、「Accessサンプルテンプレートの活用:マイクロソフト公式テンプレートに学ぶ」をテーマに、Microsoft Accessで最初から用意されているサンプルテンプレート(公式テンプレート)を活かし、効率的にアプリ開発をスタートする方法を紹介します。Accessには顧客管理や在庫管理など代表的な業務向けテンプレートが存在し、初心者でも画面イメージを掴みながら学べる利点があります。ぜひ本記事を参考に、自分の要件に合わせてテンプレートをアレンジしてみてください。
1. なぜ公式テンプレートを使うのか?
- 学習コストの削減
- フォーム・レポート・テーブルなどが事前に設定済みのため、「どんなオブジェクトをどう配置するか」のヒントをつかみやすい。
- いきなり白紙から作り込むより、既存の画面やクエリを見ながら学習できる。
- 業務イメージをつかみやすい
- たとえば「顧客管理」や「在庫管理」など、多くの現場で共通するパターンが用意されており、どういう項目が必要かサンプルを参考にしやすい。
- カスタマイズの土台
- テンプレートをベースにテーブル名やフィールド名、フォームデザインなどを変更して、自分の業務要件に合わせやすい。
2. どこでテンプレートを入手できる?
2.1 Access起動時の「新しいデータベースの作成」画面
- 最新のOffice(Access)を起動すると、「新しいデータベース」 の選択肢にテンプレート一覧が並ぶ。
- 「顧客管理」「在庫管理」「通話記録」など、カテゴリー別にテンプレートを表示してくれる。
- 選択してダウンロードすると、サンプルファイル(.accdb) が作成される。
2.2 Microsoft公式サイト
- マイクロソフトのテンプレートギャラリーから追加のサンプルを取得可能。
- Microsoft 365版のAccessならクラウドテンプレートに随時アクセスし、インストール。
2.3 コミュニティ・サードパーティ
- Access関連コミュニティやブログでも、独自拡張されたテンプレートを公開している場合がある。
- 公式テンプレートより特定業種に特化したものを探すのも一手。
3. 主な公式テンプレート例と特徴
- 顧客管理 (Contacts)
- メインメニュー、顧客詳細フォーム、レポート機能を含む基本パターン。
- フィールド:名前、住所、電話、メールなど。カスタマイズして部署・役職などを追加可能。
- 在庫管理 (Asset Tracking / Inventory)
- 商品(資産)テーブル、入出庫のトランザクションフォーム、数量や仕入先を管理する。
- 仕入履歴や棚卸機能を簡単に応用できる。
- タスク管理 (Tasks)
- タスク名、担当者、開始日・期限日などを管理。
- 小規模プロジェクト管理に転用できる。
- 通話記録 (Call Tracker)
- 着信/発信の詳細や相手先情報、メモを一括管理。
- サポートコール管理や問い合わせ窓口の電話対応記録などに流用可能。
- 学生データベース (Student Database)
- 生徒の基本情報、成績管理、保護者連絡先など教育機関向け。
- 学生以外の「登録メンバー」管理に変えるなどの応用もできる。
4. カスタマイズのポイント
4.1 フィールド・リレーションの調整
- テーブルを開いて自分の業務に合わないフィールドを削除or名称変更
- 追加したい項目(例:顧客テーブルに「誕生日」フィールド)を新規作成
- リレーションシップ画面で外部キーを設定し、正しい整合性を保つ
4.2 フォームデザイン調整
- ラベル表記を日本語化や自社用語に変更
- 不要なボタンを削除し、新しいボタンで追加機能を実装
- イベントプロシージャ(VBA)でボタンクリック時に独自処理を組み込む
4.3 レポート修正
- テンプレートに付属のレポートを、紙の帳票として活用できるように配置・書式を整え、社内標準のフォーマットに合わせる
- ヘッダーに会社ロゴ、フッターにページ番号など追加
5. テンプレート導入時の注意点
- サンプルデータを削除/リセット
- テンプレートにはデモ用のレコードが入っている。運用前に不要レコードを削除し初期化
- マクロ vs VBAの判断
- テンプレートの一部機能はマクロで作られている。高度な制御を求めるならVBAへ変換してカスタマイズがベター
- フォーム名、テーブル名
- テンプレートは英語名が多い。日本語環境で管理するなら日本語名 or 命名規則に合わせてリネーム
- 機能不足に注意
- あくまで最低限の構成なので、セキュリティ対策(ユーザー権限など) やバックアップなど実務で必要な機能は別途検討
6. テンプレートから学べる設計のポイント
- テーブル分割の例
- 顧客テーブル, 注文テーブル, 在庫テーブルなど正規化された構造を参考にできる
- フォームのイベント
- テンプレートのボタンやフィールドのプロパティを覗くと、AfterUpdateやOnClickなどイベントハンドラの書き方を学べる
- メインメニュー
- テンプレートの「スタート画面」を研究し、ナビゲーションフォームやマクロ活用のサンプルが見られる
- レポートのグループ化
- サンプルレポートでグループヘッダー/フッターの使い方を把握し、複雑帳票に応用
7. テンプレート活用事例:在庫管理を自社用にカスタマイズ
- 「在庫管理」テンプレートを開く
- テーブル: 「Item」「Transaction」 などを見て、自社製品情報や入出庫ロジックにフィールドを追加
- フォーム: 不要なチェックボックスや使わない検索機能を削除し、代わりに「仕入先選択コンボボックス」を新設
- レポート: 「在庫一覧レポート」にソート順や追加列(カテゴリ)を設ける
- 運用開始後、不都合があればデザインビューでさらに調整
メリット:
- 零から組むより、テーブル設計やフォーム配置の実例を参照できる
- 細かな集計機能やクエリロジックを確認しつつ、自分で機能追加できる
8. まとめ:公式テンプレートを上手に活用して学習&開発効率UP
- Access起動→テンプレート選択
- 「顧客管理」「在庫管理」など基本的なモデルをダウンロード
- 使わない要素を削除し、必要項目を追加
- リネームやイベント設定も行い、UIやデータ構造を自社仕様に近づける
- サンプルデータをリセットし、本番データを入れるか、別途バックエンド(DB)とリンク
- テンプレートの構造を学ぶ
- 正規化されたテーブル構成やフォーム・レポート設計の基礎が分かる
- 不足機能は自作で拡張
- テンプレートのマクロをVBAに変換、ログイン画面や権限管理などを追加
公式テンプレートはあくまでサンプルですが、学習用としても実務用の土台としても役立つ存在です。初学者にとっては「こういうふうにテーブルを組むのか」「こういうイベント処理をするのか」という具体例が見られるのが大きなメリット。時短しながらAccessのベストプラクティスを吸収し、独自アプリの完成度を高めてみてください。
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これらのテンプレートをきっかけに、Access開発のUI/DB構造を一度把握すれば、独自の要件にも柔軟にカスタマイズ可能です。ぜひ公式サンプルテンプレートをダウンロードして、実践的な学習を始めてみましょう。
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入社した会社では、Accessを活用した基幹システムが長年運用されていました。しかし、開発者の高齢化により保守が困難となり、システムの維持・更新が急務に。
ほぼAccessに触れたことのなかった私は、ゼロから学びながら基幹システムを再構築してみることに。ついにはAccessによるシステム開発エンジニアとしてのスキルを身につけるまでに成長。
元々の業務のノウハウとそれを効率化するためのツール(Access)によって業務効率化システムをいくつも開発してきました。
みなさんの”なにか(業務のノウハウ)”とAccessで業務効率化を実現するお役に立てれば幸いです。
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