以下では、「Accessテーブル設計の鉄則：重複と不整合を避けるために」をテーマに、Microsoft Accessでテーブルを設計する際に押さえておきたいポイントを解説します。特に「ついExcel感覚で作ったらデータ重複が起きて大変…」といった初心者が陥りがちな問題を回避するためのノウハウをまとめています。正しいテーブル設計は、後々のクエリやフォーム・レポート作成をスムーズにし、システムの保守性や整合性を大きく高めてくれます。

1. なぜテーブル設計が重要なのか？

1. データ重複が更新ミスを招く
   • 例えば、顧客情報を複数テーブルや重複列に散りばめると、一部が更新されても別の箇所に旧情報が残り、整合性を壊しやすい。
   • テーブル設計がしっかりしていれば、1か所修正で全体が整う形を保ちやすい。
2. 拡張時に修正コストが膨れ上がる
   • 不適切に結合したテーブルや混乱したフィールド定義を後から直そうとすると、クエリやフォームが絡んで大改修になる可能性。
   • 初期の設計段階で基盤を固めれば、追加要件にも柔軟に対応できる。
3. パフォーマンスにも影響
   • 正しい主キー・外部キー設定がないと、インデックスを有効に使えずクエリが遅くなったり、重複データによりテーブルが無駄に膨らむことがある。

2. 重複と不整合を招く典型パターン

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2.1 テーブルを1つに全部詰め込む

• 症状: 顧客情報・商品情報・注文情報などを、列数の多い“巨大テーブル”にしてしまう。
• 結果: 顧客名や住所が重複しまくり、更新漏れが続出。Excelのようにシート一枚で済ませようとするイメージで作るとありがち。

解決策:

• 「顧客テーブル」「商品テーブル」「注文テーブル」といったテーマ別に分割し、主キーと外部キーで関連付ける（リレーションを張る）。
• 頻繁に繰り返し出る項目はマスタテーブルにまとめる。

2.2 同じ情報を複数の列で保持する

• 症状: “顧客担当者①” “顧客担当者②” “顧客担当者③” … など列を増やしてしまう。
• 結果: 列数が増えすぎて検索・更新が複雑になる。追加列が必要になるたびにテーブル設計を変更し、メンテナンスが煩雑。

解決策:

• 「担当者」を複数持つなら**別テーブル（担当者テーブル）**を作り、顧客IDで結合する形にする。
• 1対多の関係はサブテーブルを使い、行を追加するだけで増やせる構成に。

2.3 部分的に重複する項目をそれぞれ保存

• 症状: “郵便番号”や“都道府県”など、他のテーブルにも同じ列が入っている。更新時に整合性が崩れる。
• 結果: “東京都”→“東京”など表記ゆれ、どこかが更新されずデータ不一致が起きる。

解決策:

• 重複情報は1つのテーブル（例：住所マスタや地域マスタ）に集約し、外部キーで参照。
• テーブルを正規化して冗長性を削減する。

3. 鉄則1：主キー(Primary Key)を必ず設定する

• 主キーはテーブル内で行を一意に識別するためのフィールド（または複数フィールド）。
• Accessでは「ID」列をオートナンバー型にして主キーとするケースが多い。
• 主キーがないと重複行の識別が困難になり、外部キー参照やレコード更新で問題が生じやすい。

例: tbl_顧客 の “顧客ID” (オートナンバー) を主キーに設定

4. 鉄則2：外部キー(Foreign Key)を使ってリレーションを構築

• 外部キーは、別テーブルの主キーを参照するフィールド。
• Accessのリレーションシップ画面で 「参照整合性を設定」 すると、親テーブルに存在しないキー値を子テーブルに入れられなくなる。
• 例: tbl_注文 の “顧客ID” が “tbl_顧客” の “顧客ID” を参照 → 親テーブルにないIDは受注テーブルに登録できない

メリット:

• 子テーブルの行が必ず有効な親レコードを指すので、一貫性が保たれる
• 親を削除する際に子もまとめて削除したり、更新を連動させる設定が可能

5. 鉄則3：正規化(Normalization)の原則を知る

正規化とは、データの重複を最小限にし、整合性を高めるためにテーブルを分割する設計手法です。正規化を実践すると、以下のような利点があります：

1. 更新の一貫性: 同じ情報を1カ所にだけ置く
2. テーブル構成が明確: 1テーブル1テーマで管理しやすい
3. 検索・集計がわかりやすくなる: カテゴリ・マスタ・トランザクションが整理される

例(超簡略化):

• 顧客テーブル (tbl_顧客)
• 商品テーブル (tbl_商品)
• 注文テーブル (tbl_注文) → 顧客ID, 商品ID, 数量, 注文日など
• ここで複数の商品を注文するケースは注文詳細テーブル(tbl_注文詳細)をさらに作り、1対多を表すこともよくある。

6. 鉄則4：不要な列・データ型に気を付ける

• 使わない列をとりあえず入れておくと、メンテナンスコストが上がる。
• メモ型(長いテキスト) や OLEオブジェクト は気軽に使うとデータファイルが肥大化する。
• 日付や数値で本当に型が合っているか確認し、誤って文字列型にすると将来的な集計に困る。

基本ガイドライン

1. 必要最低限のフィールドだけ
2. 集計を行う数値列は「数値型」や「通貨型」にする
3. 画像など大きなデータは極力別ファイルにしてパスを持つ設計にする

7. 鉄則5：リレーションシップ画面で参照整合性を設定する

Accessの「データベースツール」 → 「リレーションシップ」でテーブルを関連付ける際、「参照整合性を設定する」にチェックを入れましょう。

• 親テーブルの主キーがないと子テーブルにレコードを登録できない
• 親を削除したら子レコードも削除(連鎖削除) or 拒否するなど選択可
• こうすることで重複や不正な外部キーの入力を防げる

8. まとめ：不整合を避ける設計の5ステップ

1. テーブルをテーマ別に分割
   • 顧客、商品、受注など
2. 主キーを必ず設定
   • オートナンバーやユニークなフィールドを利用
3. 外部キーでリレーション
   • 参照整合性を有効にして、一貫性を保つ
4. 正規化で重複データを排除
   • 同じ情報をあちこちで持たない
5. 不要列や型ミスマッチを避ける
   • 必要最小限 + 将来的に集計しやすいデータ型を選ぶ

こうしたテーブル設計の鉄則を守ると、不整合を最小化し、データを正しく保管できます。その結果、クエリやフォーム、レポートの作成もシンプルに行え、後で機能追加やデータ量の増大に対応するときもスムーズに拡張できるのです。

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Accessでの開発を成功させる一番の要は、テーブル設計がどれだけ適切かにかかっています。焦らず、目的のシステムを考慮しながら、テーブルとフィールド、キー設定を慎重に組み立ててみてください。

DMM

まー

駆け出しブロガー

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入社した会社では、Accessを活用した基幹システムが長年運用されていました。しかし、開発者の高齢化により保守が困難となり、システムの維持・更新が急務に。 ほぼAccessに触れたことのなかった私は、ゼロから学びながら基幹システムを再構築してみることに。ついにはAccessによるシステム開発エンジニアとしてのスキルを身につけるまでに成長。 元々の業務のノウハウとそれを効率化するためのツール(Access)によって業務効率化システムをいくつも開発してきました。 みなさんの”なにか（業務のノウハウ）”とAccessで業務効率化を実現するお役に立てれば幸いです。 月３０万の高配当投資も行っています。最新の銘柄情報もお届けしていきます。